大学受験に失敗し、最終学歴にコンプレックスがある。大学卒業後は研究に取り組みたいが、私立の院は学費が高すぎて払えない。
そのような理由で国公立などのレベルの高い大学院進学を目指す人もいると思う。だが、世間一般的にはマイノリティであり、自身の思い描く通りロンダリングを成功させるのは難しい。
そこで今回、地方私立大⇒阪大院へロンダリング経験のある私がどのようにして大学院へ合格したかを時間軸に沿ってお伝えしようと思う。
記事内には「教授へメールを送る際の例文」と「院試の面接時に聞かれたこと」もまとめているので参考にして欲しい。
【結論】主体的に行動する人だけが成功できる
これまでの学生人生では、決められたカリキュラムに沿って学習し、一定の学力ラインを超えることで単位取得をしてきた。
だが、ロンダリングを行う際は、誰かに指定されたタスクをこなすのではなく、自ら主体的に行動しなければならない。決められた期間内に適切な行動を取ることができるかで、成功確率は大幅に変化するので、ロンダリングを考えている人は計画的に行動することを徹底して欲しい。
学部3回生 夏~秋
就職 or 院進学を考える
まず3回生の秋までに考えなければならないのは、学部で卒業して就職するか、院進学をするか。
少なくともこの時期までにある程度決断しておかなければ、以降の計画から遅れてしまい、ロンダリング成功確率を落としてしまう。また就活をするにしても、この時期にはインターンや説明会の情報が飛び交い、早期内々定を貰う人も一定数出てくる。
特に院進学の場合は、就活組と異なり進路が卒業後の進路決定時期が遅い。周りの進路が早めに決まっているからといって、焦って思わぬ決断をしてしまわないように注意が必要。
志望大学院(研究室)を決める
院進学を決断したら、すぐに志望する大学院(以降、研究室)を探す必要がある。何故なら、あらゆる分野・領域の研究室が無数に存在しており、自身のバックグラウンド・興味分野と照らし合わせていく必要があるからだ。
後の話にはなるが、ロンダリングするには何より受かりやすさを優先しなければならない。志望研究室を探す際は過去問が掲載されていないかも確認し、自身の今の能力と興味を天秤にかけながら選定していく。また志望研究室は1つに絞る必要は無い。
おすすめする研究室の例
他大学の院を受験する時は必ず内部生と点数を競い合い、勝たなければ入学できないと思っている人も多いがそうではない。
中には大学院にも関わらず、外部生の推薦入学制度もある。また、筆記試験が無く、面接のみの研究室も少なくは無い。初めからダメ元でトライするのではなく、入学するチャンスはある程度見込めるということを前提で取り組んで欲しい。
私は外部生限定の推薦入試を受けて合格した。そのため、内部生と争うことがなく院試を乗り切ることができた。何事も抜け道はあるので、しっかりと大学HPにある募集要項を確認しておくことが大切。
学部3回生 冬
志望研究室とコンタクトを取る
志望研究室がある程度定まったら、その研究室HPにアクセスし、教授へコンタクトを取りに行く。HPのメンバーページには一般的にメールアドレスが記載されているので、そのアドレスにメール送信すれば良い。こちら側のアドレスに指定は無いので、個人メールアドレスから送ってもらっても構わない。
だが研究室の教授は基本忙しく、見ず知らずのメールは無視されてしまう可能性も高い。そこで、同じ研究室に所属している他のスタッフ(助教・秘書など)を”CC”に添えて、少しでも気づいて貰えるように工夫しておく。例文を以下に書いておくので、参考にして欲しい。
宛先: 教授
CC: 研究室のスタッフ
題名: 【研究室訪問のお願い】〇〇大学〇回生の〇〇と申します。
------------------------------------------------------------------
○○様
CC: ○○様
初めてご連絡をさせて頂きます。
○○大学○○学部○○学科 〇回生の○○と申します。
この度、貴研究室に興味を持ち、ご連絡させて頂きました。
もし来年度の研究室人員募集があり、外部生の私の訪問に対してご迷惑で無ければ、一度研究室を訪問させて頂くことは可能でしょうか。
以上、どうぞご検討の程、よろしくお願い致します。
○○ ○○
研究室訪問
上記の連絡で教授とアポが取れたら、研究室を訪問。ただ何の準備も無く訪問するのではなく、事前に研究室のHPを確認する等して、情報を集めておくことが大事。全く何も調べていない学生の相手をする時間は教授にはない。
研究室訪問で教授と話した際には、毎年どれぐらい外部生からの入学者がいるのかを聞いておく。ほとんど外部生がいないような専攻領域を受験していては、ロンダリングも上手くいかない。
過去問入手
研究室訪問した際は、教授だけでは無く、研究室メンバーとも積極的に話しておく。特に内部生にしか入手できない過去問やその解答がある場合は、頭を下げてでも入手しておくべき。この時に余計なプライドは要らないので、いかに情報を多く入手できるかに全力を注ぐ。
学部4回生 春
ひたすら過去問に取り組む
ここまできたら後は入手した過去問を解き、受験までの期間で自身の能力を上げておく。とはいっても、大学受験の時のように何教科もある訳ではなく、基本的に1~2教科の中の特定の分野だけという問題が多い。
限られた教科に集中して取り組むことで、たとえ今の大学との偏差値差があろうとも合格することは難しくは無い。
実際にロンダリングして気づいたが、大学の偏差値差はあろうとも、分野が同じなら習う内容は基本的には同じ。国公立だからといって圧倒的に難しい問題ばかりを解いている訳ではない。きちんと基礎を理解しておくことで、内部生よりも高い点数を残すことも可能。地方私立のトップ>国立の底辺の構図は成り立つ。
現在実施している研究にも興味を持つ
大学院試験の面接時には、自身の今の研究について必ず問われる。大学院を変えたいからといって、今の研究を疎かにしていては、せっかくの試験勉強も無駄になりかねない。最低限、以下の点は抑えて研究活動に臨んで欲しい。
- 研究を行う目的
- 研究背景
- 現状の課題
- 具体的に今、何をしているのか
- 現状どのような結果が出ているのか
- 過去の研究からの新規点
志望研究室の動向を日々確認しておく
研究室のHPには、毎月のイベントや投稿論文が掲載されることが多い。志望している研究室が今、どのようなことに取り組んでいるかを把握しておくことで、ロンダリングのモチベーションも上がり、入学後の自分の姿も想像することができる。
学部4回生 夏~(受験まで)
願書を現地で直接提出する
願書提出日が来たら「郵送」ではなく、「現地で直接提出」して欲しい。
提出先は自分の大学ではない。あくまで今まで通っていなかった他大学。どのような不備が出てくるか分からないので、できるだけ直接提出するのをおすすめする。
もし動じても遠方となる人は願書提出日に到着するように郵送し、電話で確認を取る等して必ず不備が無いようにしておく。
面接対策
大学院入試には筆記テストの他に面接が付随しているところも多い。単なる自己紹介ではないので、こちらも対策が必要。
下記に、私が実際に面接で聞かれた内容とその受けごたえの例を3つ記載しておく。
Q1.なぜ量子力学を勉強するのか?
A1.私たちの目に見えている光景が全て量子力学によって成り立っているから。例えば、光の反射・透過がその例です。マクロな視点で見ると、光の反射は、ボールが壁にあたって跳ね返るイメージと同じですが、量子力学の観点で述べると、物質表面付近の電子の振動やその物質自体が光エネルギーと相互作用しやすいかどうかで反射量や透過量が決まる。このように身の回りで起きている当たり前な現象を量子力学の観点で正しく理解したいと思い勉強をしている。
Q2.研究室を変える理由は何ですか?あなたの大学でも同じ専攻はあると思いますが。
A2.私の大学では、研究したい分野の実験を行う研究室はありますが、理論を突き詰める研究室はない。これまで実験の結果だけを考察し、何故そうなるのかといった理論的な部分の勉強を怠っており、大学院へ進学する上で、一度理論から学び直し、理論と実験を紐づけた結果を出したいと思っている。そこで、専攻分野の実験・理論研究室の両方があり、〇〇といった理由も含めて大阪大学の〇〇専攻〇〇研究室へ変更しようと考えた。
Q3.入学後はどのような研究に取り組み、そのために何をするのか?
A3.入学後は〇〇についての研究を行いたい。だが、この研究には〇〇の知識が必要。現段階では知識不足のため、入学後は基礎固めも並行して行いたい。
【総括】とにかく自分で調べて早めに動く
これまで記載してきた通り、とにかく自分で動きに行くことが大事。友達の中でもロンダリングを行うのは少数派のはず。周りが就活やら自分の大学の院へ進学するやら悩んでいるうちに、自分だけでも先手で行動することを心がける。
今日明日で研究室が定まるはずもないし、訪問すること、ましてや連絡が上手くつくかどうかも分らない。人生の最終学歴を変えるためにプライドを捨てて約1年間全力で取り組むことをおすすめする。
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